パンドラ映画館– category –
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隠しカメラが暴く入管収容施設の内情 システムに従順な日本社会の闇『牛久』
“隠し撮り”という禁断の手法を使った映像は、あまりにもショッキングだ。透明なアクリル板で仕切られた向こう側には、絶望に打ちひしがれた人たちの顔がある。ドキュ... -
自宅が全焼してしまった監督一家のドキュメント『焼け跡クロニクル』
幸せが手のひらからするりと抜け落ちていくように、不幸もまた音もなく静かにやってくる。映画『焼け跡クロニクル』は、自宅が火事で全焼してしまった原將人監督とそ... -
黒人リンチを告発した闘う歌姫『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』
南部の木には奇妙な果実がなる 血が葉を濡らし 根にしたたる 黒い体が揺らいでいる ビリー・ホリデイが歌ったヒット曲「奇妙な… 続きを読む...このサイトの記事を見る -
格差社会が生み出したダークヒーロー 上西雄大主演&監督作『西成ゴローの四億円』
コロナ禍が吹き荒れる映画界に、雑草のようにタフな野生の花が咲き開いた。大阪生まれの俳優・上西雄大がプロデューサー・主演・監督・脚本を兼ねた『西成ゴローの四... -
有村架純&森田剛『前科者』 寄り添うことで、罪を背負う者は更生できるか?
寄り添うという言葉は、柔らかいイメージがあり、とても便利で使いやすい。ドキュメンタリー作品のカメラは、社会的弱者に寄り添うことで、彼らの目線に映るものを捉... -
極上の韓国映画を思わせる犯罪ミステリー 佐藤二朗が二面性を見せる『さがす』
映画の主人公は何かを探していることが多い。冒険ファンタジーの主人公は伝説の秘宝を求めて旅をし、恋愛映画の主人公は理想の恋人との出会いを求めてさすらうことに... -
“無自覚な自主規制”進むテレビの在り方を問うドキュメント『テレビで会えない芸人』
ライブチケットはすぐに完売、会場をいつも爆笑の渦に巻き込む人気お笑い芸人がいる。だが、彼の姿を今のテレビでは見ることがない。 鹿児島テレビが制作したドキュ... -
変わりゆく「マッチョ像」描くイーストウッド主演&監督作『クライ・マッチョ』
スポーツジムに通ってボディビルダーばりのマッチョ体型を目指す人たちがいる一方で、マッチョという言葉が連想させるマチスモ(男性優位主義)を嫌悪する人たちもい... -
『シン・エヴァ』『はな恋』ほかコロナ禍でも大健闘した2021年の日本映画
日本映画界の年間興行収入は、この20年で最高記録となった2019年の2611億8000万円から、コロナ禍によって2020年は、最低となる1432億8500万円にまで大激減した。2021... -
「人生のエキストラ」で終わってもいいのか? 園子温監督作『エッシャー通りの赤いポスト』
オランダ生まれの画家・版画家のマウリッツ・エッシャーは、多くの「騙し絵」を残した。階段を昇っているつもりが、いつの間にか階段を降りており、そして再び昇って... -
異郷での生活はこの世の楽園か地獄の入り口か? “困窮邦人“を追った『なれのはて』
観る人によっては、この世の楽園のように感じられる。だが、別の人が観れば、そこは底の割れた地獄の一丁目のようにも感じられる。粂田剛(くめた・つよし)監督が撮... -
伝説の“美少年”を追った残酷なドキュメンタリー『世界で一番美しい少年』に見るアイドルの苦悩
アイドル(idol)とは「偶像」のことであり、日本では今も昔も、お気に入りのアイドルを崇拝する人たちが多い。アイドルを崇めている間は、世知辛い現実世界のことを... -
ロンドンという街が若者の夢を搾取する恐怖 『ラストナイト・イン・ソーホー』
音楽もファッションもキラキラと輝き、まぶしく感じられた1960年代。若者たちを中心にしたポップカルチャーが花開いた時代だった。タイムトラベルできるのなら、誰し... -
ネット時代の“仁義なき戦い”を描いた野心作! 名簿ビジネスをめぐる和製ノワール『JOINT』
映画は時代を映す鏡だと言われているが、なかでも犯罪映画は現代社会をひときわ鮮明に映し出すジャンルとなっている。暴排条例が全国的に施行された2011年以降、目立... -
田中みな実『ずっと独身でいるつもり?』 相手の価値観に合わせて生きることの息苦しさ
写真集『Sincerely yours…』(宝島社)が60万部を超えるベストセラーとなった、元TBSアナウンサーの田中みな実。「美のカリスマ」として、また「あざとかわいさ... -
『ドーナツキング』はアメリカンドリームの味? スイーツに隠された虐殺とアジア難民の歴史
ドーナツほど、カジュアルでありながら深みを感じさせるスイーツは他にはないだろう。おやつにも軽食にもなり、その甘さは食べた人に祝祭感を与えてくれる。また、環... -
男はなぜ“危険な女”に手が伸びてしまうのか? 万田邦敏監督が描く恋愛奇談『愛のまなざしを』
映画という虚構世界では、“狂った女”はとても美しい存在としてスクリーンに映し出される。万田邦敏監督の恋愛サスペンス『接吻』(08)は、狂気によって研ぎ澄まされ... -
不気味すぎる実写映画『ほんとうのピノッキオ』 大人たちに搾取される社会的弱者を描いた寓話
嘘をつくと鼻がぐんぐん伸びる木彫り人形を主人公にした児童文学『ピノッキオの冒険』は、誰もが子どもの頃に絵本やアニメーションなどで親しんだ作品だろう。とりわ...
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